PDF の黒塗りのやり方(見せかけの黒塗りにしない)
PDF の名前や電話番号を黒く塗って人に渡す前に、知っておきたいことをまとめました。黒い四角を重ねただけでは消えない理由と確かめ方、スキャンした書類の注意、下の文字まで本当に消す手順を説明します。
申込書・履歴書・契約書・裁判や情報公開の書類など、個人情報の部分を黒く塗ってから人に渡したい場面があります。紙なら油性ペンで塗れば済みますが、PDF は事情が違います。見た目が黒くなっていても、下の文字が残っていることがあるからです。
この記事では、まず「見せかけの黒塗り」がなぜ起きるのかと、手元で確かめる方法を説明します。そのあとで、テマラボの黒塗りソフト「テマクロ」で、個人情報を探して下の文字まで消す手順を説明します。
1. 黒い四角を重ねただけでは、消えていない
PDF の中の文字は、「この位置にこの文字を描く」という情報として入っています。PDF の編集ソフトの図形や注釈の機能で黒い四角を描くと、その上に四角が重なって見えなくなるだけで、下の文字の情報はそのまま残ります。
下の画像は、架空の申込書の名前・生年月日・住所・電話・メールの上に、黒い四角を描いただけの PDF です。見た目はきちんと塗れています。

ところが、この PDF から文字を取り出す道具で読むと、次のように出てきます。
申込書(見本)
申込者氏名 見本 花子
生年月日 平成元年5月10日
住所 東京都架空区見本町3-2-1
電話 090-1234-5678
メール [email protected]
隠したはずの文字が、すべて読めてしまいました。同じことは、PDF の表示ソフトで黒い所を選んでコピーし、メモ帳に貼り付けるだけでも起きます。これが「見せかけの黒塗り」です。役所や会社の公開した資料で、黒塗りの下の文字が読めてしまったという出来事は、たびたび起きています。
2. 黒塗りできたかを確かめる方法
黒塗りした PDF を渡す前に、次の3つを確かめてください。どれも、ふだんの PDF の表示ソフトでできます。
- 黒い所を選んでコピーする。黒い所をドラッグして選び、コピーしてメモ帳に貼り付けます。消したはずの文字が出てきたら、消えていません。
- 消した言葉で検索する。表示ソフトの検索(Ctrl+F)に、消した名前や電話番号の一部を入れます。見つかったら、消えていません。
- 文書のプロパティを見る。「ファイル」→「プロパティ」などで、作成者・タイトル・キーワードに名前や会社名が残っていないかを見ます。
この3つで何も出なくても、注釈・しおり・添付ファイル・前の版の中身など、表示ソフトからは見えにくい所に残ることがあります(次の章)。
3. 文字のほかに残りやすいもの
PDF には、ページの文字のほかにも情報が入っています。黒塗りでは、次のものも気にする必要があります。
- メタデータ: 作成者・タイトル・作ったソフトなど。作った人の名前が入っていることがよくあります。
- 注釈・コメント・フォームの入力欄: ページの上に重なった別の情報です。黒い四角も、多くは注釈として入っています。
- しおり(目次)・添付ファイル: しおりの見出しに名前が入っていたり、元の Word や Excel が添付されていたりします。
- 前の版の中身: PDF は、直した所だけを後ろに書き足す保存(増分の保存)ができます。この場合、直す前の中身がファイルの中に残っていることがあります。
- スキャンした PDF の透明な文字: 文字の読み取り(OCR)をしたスキャン PDF には、画像の上に見えない文字の層があります。画像を黒く塗っても、この層に名前が残ります。
4. テマクロで本当に消す手順
テマクロは、PDF・スキャン・画像から個人情報らしい所を探し、画面で確かめてから、下の文字まで消して書き出すソフトです。手順は次のとおりです。

- テマクロの無料版をダウンロードして、インストールします。
- 黒塗りしたい PDF を、画面にドラッグして入れます(「ファイルを追加…」「フォルダを追加…」でも入れられます)。
- テマクロが、電話番号・携帯電話・メール・住所と郵便番号・マイナンバーらしい番号・口座番号・生年月日・人名を探して、種類ごとの色の枠で示します。会社名など、決まった言葉を消したい時は、右の「設定」の「自分で決めた言葉」に1行ずつ書きます。

- 1つずつ確かめます。消さなくてよい所は、ページの上の枠か、右の一覧のチェックを押して外します。足りない所(手書きの欄・印鑑など)は、上の「囲んで足す」でドラッグして足します。
- 「仕上がりで見る」にチェックを入れると、書き出した時の姿を見られます。全ページを順に見て、消し漏れがないかを確かめます。

- 「黒塗りして書き出す」を押します。元のファイルはそのままで、「元の名前_黒塗り.pdf」が書き出されます。
テマクロが書き出す時に行うことは、次のとおりです。
- 塗る所のあるページを見た目どおりに作り直し、塗った所の文字・描画・画像を新しいページに入れません。残した文字は見えない文字の層として入れ直すので、検索・コピーはそのまま使えます。
- メタデータ・注釈・しおり・フォーム・添付ファイルを片付け、ファイル全体を書き直して、前の版の中身も残しません。
- 書き出した後に、もう一度確かめます。書き出したファイルから文字を取り出し、消した文字が残っていないかを確かめます。残っていたら、そのファイルは書き出しません。
書き出した後は、念のため、2章の3つの確かめ方を自分でも試してください。
5. スキャンした書類を黒塗りする時の注意
スキャンした PDF や、スマホで撮った書類の写真には、文字の情報がありません。テマクロは、文字のないページや画像の文字を読み取ってから探します(設定の「画像の文字も読む」が「スキャンだけ」の時。既定)。

- スキャンは 300dpi 以上をおすすめします。粗いスキャン(200dpi など)では、一部の文字を読み落とすことがあります。読み落とした所は自動では見つからないので、消し漏れの元になります。
- かすれ・傾き・小さな文字・手書きも、読み落としの元になります。スキャンの書類こそ、「仕上がりで見る」で全ページを1枚ずつ確かめてから書き出してください。
- 文字を読み取ったスキャン PDF(透明な文字の層があるもの)も、テマクロは塗った所の文字の層まで消します。
6. たくさんの書類をまとめて黒塗りする
同じ種類の書類がたくさんある時は、フォルダごと入れて「まとめて処理」を押します。まだ書き出していないファイルを、同じ設定で1つずつ黒塗りします。画面で確かめて枠を外したり足したりしたファイルは、その内容で書き出します。

設定の「消した数の報告(.txt)も書き出す」を選ぶと、種類ごと・ページごとに消した数を書いた報告も残せます。報告には、消した文字そのものは書きません。
製品版は、お手元の Claude Code や Claude のデスクトップアプリから「このフォルダの申込書の電話とメールを黒塗りして」と頼むこともできます。テマクロが AI に返すのは数・ページ・ファイルの場所だけで、見つけた文字は返しません。AI から頼む時は画面で確かめる手順が入らないので、大事な書類は書き出した後に確かめてください。
7. 気をつけること
- 自動で探すのは手がかりです。書き方の変わった番号・表の中で区切られた住所・文の中の名前などは、見つけられないことがあります。最後は必ず人の目で確かめてください。
- 何を消すかは、書類を渡す相手と目的で決まります。消しすぎ・消し足りないの判断は、それぞれの決まり(社内の規程・役所の基準など)に従ってください。
- 黒塗りした PDF とは別に、元の PDF を誤って送らないよう、置き場所を分けておくと安心です。
テマクロの無料版は、探す・確かめる・まとめて処理を全ページで試せます(書き出しは1つのファイルにつき先頭3ページまで・透かし入り)。お手元の書類で、探せるかどうかを確かめてください。
テマクロを無料版で試す
PDF・スキャンした書類・画像の個人情報(電話・メール・住所・マイナンバーらしい番号・口座・生年月日・人名)を探して、確かめてから黒塗りする Windows 用のソフトです。黒い四角を重ねるだけでなく、下の文字・メタデータまで消し、書き出した後に消し残しがないかをもう一度確かめます。書類をアップロードせずに使え、フォルダごとまとめて処理できます。製品版は、Claude Code や Claude のデスクトップアプリから頼むこともできます。無料版でも全部の機能を試せます(書き出しは1つのファイルにつき先頭3ページまで・透かし入り)。
公開日: 2026-10-28 テマラボ